『小沢一郎 淋しき家族の肖像』
著者名:松田賢弥 出版社:文藝春秋 文責 美術 木村顕彦
ジャーナリスト・松田賢弥(1954-)。略歴から、政治家・小沢一郎(1942-)についての著作を多く手掛けている人物であることがわかる。
そして本書もまた、テーマは小沢。特に彼の「家族」に焦点を当てているのが特徴的。正確には妻・和子についての記述が多い。
とりわけ、本書における大きな柱は、妻・和子が小沢一郎に宛てた「離縁状」である。
一部、名前が伏せられている箇所もあるが、その離縁状の内容は本書に全文が掲載されている。
東日本大震災をきっかけに、小沢一郎の家族に何があったのか。その内容をぜひ多くの人に知っていただきたい。
さて、家族についての記述は、本書を読んでいただくとして。
小沢一郎とは一体何者かということについて、本書を読みながらおぼろげながら見えてくる。印象的だった箇所を以下引用紹介。
「自民党幹事長(1989~91年)のころまでと、93年に自民党を飛び出してからでは、小沢は人間が変わったように冷徹になったと言われる。」
「小沢が政策の分野で業績を残したことといえば、小選挙区制と政党助成金の導入だ。」
それに加え、田中角栄(1918-1993)について書かれた文章も面白い。以下引用紹介。
「ロッキード事件当時、大学生だった石破(木村註・石破茂のこと)は、二朗(木村註・石破茂の父である石破二朗のこと)に噛み付いた。(改行)『いくら田中先生(木村註・田中角栄のこと)でも、これは間違っているんじゃないか』(改行)すると二朗は、『お前は田中角栄に会ったことがあるのか。お前は会わないで人を批判するのか。田中は五億円はもらっていないんだ』と断言したという。」
・・・そういう視点で見ると、私はオザワセンセイに直接お会いしてないので何とも言えないわけだが・・・本書は、スキャンダラスで刺激的な本だ。