『COM 40年目の終刊号』
著者名:霜月たかなか編 出版社:朝日新聞出版 文責 美術 木村顕彦
伝説のマンガ雑誌は、そういくつもない。『ガロ』や『漫画少年』、そして本書テーマでもある『COM』も間違いなくその一つであろう。
ある特定の年代の人には特別な存在であったであろう『COM』。それを創刊したのはマンガの神様・手塚治虫だった。アニメーション制作の虫プロダクションから発展し、虫プロ商事出版部から『COM』は創刊された。手塚の『火の鳥』、石森章太郎の『ジュン』、永島慎二の『フーテン』はじめ、多くの名作がこの雑誌から生まれた。だが、虫プロの経営不振、雑誌の売上不振から、創刊後五年経った1971年に『COM』は休刊となる。1973年8月号で復刊するが、その復刊が続くことはなかった。本書タイトルの「40年目の終刊号」にはそういった意味合いが隠れている。
本書を読み通しながら、まず感じたのは「人はみんな死んでしまうんだ」という、マンガとは全く関係ないことだった。と、いうのも『COM』に掲載されたマンガ家のメンバーリストを見ると、思いのほか故人が多いのだ。手塚、石森(石ノ森)らの死去はマスコミでも報道されたので多くの人が当然認識しているだろう。だが、岡田史子、村野守美、みやわき心太郎といった「知る人ぞ知る」漫画家の死を、本書によって知ったのはショックだった。やまだ紫、片倉陽二、青柳裕介らもしかり。早世した人があまりにも多い。先のリストは、漫画家が過酷な仕事であることを如実に示している。
リストや座談会の紹介の他に、本書では当然マンガ作品も数点掲載されている。多くは再録で、特に目を引くのは巻頭の『火の鳥 望郷編(COM版)第1回』(手塚治虫)だ。二回の掲載で未完に終わった「COM版」の望郷編。ただただ続きが気になる第1回を再録されて、困ってしまう(仮に古本屋をさがして第2回掲載の『COM』を手に入れても、それが未完なんだから、その続きが気になるだけ。)。
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