『先駆者』
著者名:メレジコフスキー(谷崎精二訳) 出版社:旺文社文庫 文責 国語 坂本幸博
当該図書は、その時代に当代きっての天才であった、レオナルド・ダ・ヴィンチの手記をもとに書かれた作品である。
ダ・ヴィンチは絵画、彫刻といった芸術活動はもちろん、精密に描いた解剖図で医学、飛行実験などで科学技術方面でも大活躍した人物であることは、あまりにも有名である。
飛行実験を繰り返したダ・ヴィンチの飛行理論は、ほぼ現代のものと同じであったといわれている。では、なぜ成功しなかったのか。その理由は「動力」の問題にあったようである。ダ・ヴィンチが今の時代に生まれていれば、どれほどの研究成果を成し遂げたのか、計り知れないものがある。
ダ・ヴィンチは当時の多くの学問領域において「パイオニア」的存在であった。どのような分野であっても、自らが切り開いていかなくてはならないというのは、想像を絶する苦労がある。そこを乗り越えると「権威」と呼ばれるにふさわしい存在になるのであろう。
最後に豆知識を一つ。ダ・ヴィンチの手記(約13.000ページ)はすべて鏡像文字(一般には鏡文字)で書かれていたことが知られている。鏡像文字とは上下はそのままで、左右が逆になる文字のことである。左利きの人は自然に書くことができるともいわれている。ダ・ヴィンチは手記を無意識に鏡像文字で書いていたのか、それともそれを読む人物がすぐには理解できないように、つまり自身の研究を守るつもりでわざと鏡像文字で書いていたのか、興味深いところである。
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