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○0734『平安古筆を読み解く‐散らし書きの再発見‐』

『平安古筆を読み解く‐散らし書きの再発見‐』
著者名:小松英雄 出版社:二玄社 文責 国語 坂本幸博

 平安時代の古筆の中には、国宝や重要美術品に指定されている芸術的価値の高いものが数多く存在する。それらは、色鮮やかな色紙に、流麗な書体で書かれており、書道に知識が浅く、草書体をすらすらとは読むことのできない私にも、その美しさは「理解できるような」気になってしまうほどのものである。
 そのように視覚的に楽しむことのできる古筆の中に、「散らし書き」と呼ばれるものが存在する。「散らし書き」は書体の美しさをストレートに味わうものではなく、その和歌の表現を「書の書き手」が細部まで読解し、それを色紙の中で巧みに表現するのである。そのため、5・7・5・7・7で五行に分けて書かれるとは限らない。場合によっては、三行で書かれることもあれば、八行、九行で書かれる場合もある。
 さらに「墨の濃淡」にも工夫がなされる。私は学部学生時代に、国語科教員免許の必修科目として、書道の単位を取得した。その際、仮名の連綿体は、墨が濃い部分と薄い部分が交互に来るように、また隣に濃い部分が来た場合には、薄くして書き、横方向に見ていっても、濃い部分と薄い部分が交互に来るように書くのが美しいという指導を受けたように思う。
 しかし、「散らし書き」に関しては、「墨の濃淡」は単なる美しさの表現ではなく、書き手の「表現方法」として重要な役割を担っている。「花の色は 雪にまじりて 見えずとも 香をだにゝほへ 人の知るべく」の作品では、冒頭の「はなの」の部分がほとんど読むことができないぐらいの薄さで書かれている。また、「ゆきに」の「ゆ」もかなり薄く書かれ、かつ「き」は不自然な間隔を隔てて書かれている。ここでは、少々離れたところに咲いている花が、雪なのか花なのか、吹雪の中で判別できないといったことが表現されているのである。
 津軽に住む我々であれば、花はもちろん、葉も落ちてしまった枝に積もった雪が、まるで花のように見えることはよく知っているので、この表現には感じ入るところが多い。また、雪の降る中に咲いている春の花は明らかに梅である。それが「白梅」であれば、雪が枝に積もっているのか、それとも白梅が咲いているのか、容易には判断がつかないという表現は、なんとも雅やかである。
 このように、古筆の「散らし書き」は美的表現を追求しただけの作品ではない。書き手が工夫した表現を、読み手は正に「読解」する必要があったのである。そこには「知的ゲーム」としての「散らし書き」の存在が見えてくるのである。 

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