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○0773『王子とこじき(上・下)』

『王子とこじき(上・下)』
著者名:マーク・トウェイン(向田智雄訳) 出版社:偕成社文庫 文責 国語 坂本幸博

 前回は「取り替え譚」第一弾として『新訳十二夜』を取り上げたが、今回は『王子とこじき』を取り上げてみたい。なお「こじき」の表記に関しては、いわゆる「差別語」の問題が絡んでくるが、ここでは当該図書の通りに仮名表記で「こじき」としたい。
 さて、この「取り替え譚」にはいわゆる「身分差」が絡んでくる。身分差が絡む「取り替え譚」では、社会問題はもちろん、「隣の芝生は青くみえる」のように、他者の生活をうらやむことから生まれる「幻想」が「現実」に打ち破られることを描く場合が多い。それによって、我々自身の生活に多くのことを示唆してくれるものとなるのである。 
 主人公は、若き日のエドワード6世(実在の人物である)と貧民窟に生まれたトムである。トムはその貧しさから王侯貴族の生活にあこがれ、エドワード6世は堅苦しい宮廷生活に嫌気がさし、自由に暮らす庶民の生活にあこがれを持っている。その二人がひょんなことから出会い、お互いに話をする内に、実はお互いの顔が「うり二つ」であることに気付く。そこで、着ている服を交換し、入れ替わって生活してみようということになるのである。
 しかし、お互いはすぐに入れ替わったことを後悔し始める。その偽りの生活は二人にさまざまな受難を及ぼすのであるが、その時、ある一つの事件が起ころうとしていたのである。
 この「取り替え譚」は双子ではなく、容姿の似ている「赤の他人」が入れ替わるものである。「身分差」が絡む「取り替え譚」は、ほとんどこの形をとっている。チャップリンの「独裁者」では、「床屋のチャーリー」と「独裁者ヒンケル」が入れ替わる。チャーリーはヒンケルと間違えられたことに困惑しながらも、最後場面である演説において、人類がなすべき事を堂々と語っている。その演説は正にチャップリンその人の思いであり、世界中に感動の嵐を呼ぶものとなった。
 また黒澤明監督の「影武者」は、捕らえられた盗人が武田信玄とうり二つであることから、影武者としての人生を歩んでいく「喜悲劇」である。最終的に信玄ではないことが、体の傷の有無から敵ではなく身内に見破られてしまい、追放処分を受けることになるのであるが、その場面は何ともいえないやるせなさが残るものになっている。
 その二作品と比較して、当該図書はどのような結末になるのであろうか。「児童文学」であると馬鹿にするのではなく、ぜひ多くの人に繙いてもらいたい作品である。そこから学び、かつ得るものは決して少なくないはずである。


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