ToO Gijuku Topics(東奥義塾)
東奥義塾高等学校 公式ブログ

○0791『三上文法から寺村文法まで‐日本語記述文法の世界‐』

『三上文法から寺村文法まで‐日本語記述文法の世界‐』
著者名:益岡隆志 出版社:くろしお出版 文責 国語 坂本幸博

 中学校や高校に入学すると、いわゆる「(日本語)古典文法」を学ぶことになる。また、あまり「文法」としては意識されていないが、小学校の段階からいわゆる「(日本語)現代語文法」も学んでいる。中学校や高校の英語では、英文法を学び、大学へ進学し、フランス語やドイツ語を選択すれば、それぞれ「フランス語文法」や「ドイツ語文法」を学ぶことになる。
 多くの人は「~語文法」といえば、正に「規範的」なもので、唯一無二の絶対的なものだと思っているはずである。しかし、日本語には複数の「文法」が存在すると聞けばその人たちはどのような考えを抱くのであろうか。実は、日本語には複数の「文法」が存在する。代表的なものは、大槻文彦の「大槻文法」、橋本進吉の「橋本文法」、時枝誠記の「時枝文法」、山田孝夫(よしお)の「山田文法」などである。それぞれ「文」や「語」に対するとらえ方は全く異なっており、その「文法体系」はそれぞれの研究者の特徴がよく現れている。「語」について見ていくと、橋本文法では「助動詞」を認めているが、山田文法では「助動詞」を認めず、それらはすべて「複語尾」とされる。また、「文」について見ていくと、橋本文法では「文節」を認め、それらの「係り受け」で文が形成されるのに対し、時枝文法では「入れ子構造」によって「文」が形成されていると考えるのである。それぞれに一長一短があり、すべてをまんべんなく、完璧に記述している文法というものは存在しないように思われる。日本の学校教育では、それらの中から「橋本文法」を選び、その立場で文法教育(現代語も古典語も)を行っている。
 当該図書で扱われている「三上文法」は三上章の提唱した文法体系である。他の研究者の文法体系と比較していえることは、徹底的なデータ主義に基づき、先行研究にとらわれない自由な発想を持っていたということであろう。『象は鼻が長い』で提唱された「主語廃止論」などは、正にその最たるものである。
 三上文法は非常に「実用的」な文法体系であり、外国人に対する日本語教育の分野において大変注目されることになった。それをある意味において引き継いだものが、寺村秀夫の「寺村文法」である。寺村も日本語教育に携わる立場から「体系性」「明示性」「実用性」に重点をおいた。
 現代語を考える場合に、古典文法にある体系をそのまま無批判に使用して、そこに当てはめた場合でも日本語の大まかな形は記述できるが、それは本当の意味での日本語記述文法といえるのであろうか。三上や寺村は、本当の意味での現代日本語文法の記述を目指したのである。
 当該図書は言語学や文法学を志す学生にとっては必読書であるといえる。また一般の方でも、日本語に興味を持ってさえすれば、非常に興味深く読むことができる良書である。 


最新記事
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

東奥義塾

Author:東奥義塾

AKB48の渡辺麻友の3rdシングル特典DVDに本校制服が!!

この公式ブログが「あおもりICTコンテスト2010(学校Webサイト部門)」で「最優秀賞」!!

東奥義塾個人情報保護方針→こちら

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

04月 | 2017年05月 | 06月
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -