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○1082『写真家 井上青龍の時代』

『写真家 井上青龍の時代』
著者名:太田順一 出版社:ブレーンセンター 文責 美術 木村顕彦

 大阪のドヤ街・釜ヶ崎を撮り続けた井上青龍という写真家がいた。井上は1988年に徳之島の撮影で水死した。享年56歳。
 生前に井上が残した写真集は『釜ヶ崎』(1985年刊行)一冊。それは現在、古書の世界でも高値で取引され、簡単に目にすることができない。
 私が井上青龍という写真家の名前を知ったのは、何かの本によってだと思うのだが、それが何か思い出せない。にも関わらず「ドヤ街・釜ヶ崎」「写真家・井上青龍」という言葉は私の心に刻み付けられた。その時点では、井上の撮った写真を一枚も見ていないにも関わらず。
 その井上青龍という写真家について、より深く知りたいを思っていた時に出会ったのが本書だ。内容は井上の評伝。わずかだが巻頭に井上撮影の写真も掲載されている。著者は写真家の太田順一だ。
 さて、いみじくも本書の刊行と前後して『メモワール 写真家・古屋誠一との二十年』(小林紀晴・著)という著作が世に出た。両者は、内容面では一切の関連はないが、写真家が写真家を追ったノンフィクション作品という点では共通している。両書とも、かなり充実した内容で、写真表現への興味を深めていた私を喜ばせた。
 本書の内容に移ろう。本書では井上の活動のみならず、晩年に彼が教授として勤務した大阪芸術大学での先輩写真家・岩宮武二や教え子のエピソードも盛り込まれている。中でも、おっと思ったのは青森県出身の写真家・小島一郎(1964年、39歳で死去)についての記述があったことだ。それによると、かつて井上と小島のツーショット記念写真(写真賞受賞記念)がカメラ雑誌に掲載されたことがあるという!没後に再評価が進む写真家として、井上と並べて小島を紹介しているのは何とも嬉しい。
 また、本書では当然、写真家・井上青龍の苦悩も描写されている。その代表的なものは「『釜ヶ崎を変えることはできなかった』といって消耗した様子の井上は、すさんでもいた」という記述だろう。社会問題や戦争、その現象にまつわる場を撮影する人間には常にその問いがつきまとう。ただ夢中で撮る人もいるが、それは例外的だろう。加えて、井上の娘へのインタビューも印象的だ。400ページ以上の大著である本書の刊行によって、井上青龍という写真家がより多くの人に知ってもらえることを願う。

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