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○1091『石子順造的世界』

『石子順造的世界』
著者名:府中市美術館・編 出版社:美術出版社 文責 美術 木村顕彦

 石子順造。
 過去のマンガ評論を見ていくと、必ず目にする名前だ。
 その石子順造に関する展覧会が2011年に府中市美術館で開催された。本書は、その展覧会の図録を書籍化したものだ。
 本書を通して知ったこと、それは石子がわずか48歳で病死しているということと、マンガ評論以外の仕事だった。
 マンガ評論以外の仕事、とはなにかというと、「美術」と「キッチュ」に関する研究だ。そういえば本書の副題は「美術発・マンガ経由・キッチュ行」とある。石子をよく表した副題だ。
 本書を見ていると、石子の興味に引っかかった美術ジャンルに属する画家・池田龍雄・中村宏・赤瀬川原平といった面々は、彼の好むマンガの志向(つげ義春・佐々木マキ・つげ忠男・・・といった、雑誌『ガロ』出身の漫画家たち)に通じると感じるはずだ。
 また、本書では、つげ義春の記念碑的作品『ねじ式』が全ページ収録されている。原画を直接撮影して掲載しているので、そこからつげの制作プロセスが見える。つげは寡作だ。不条理マンガと呼ばれた『ねじ式』。つげは『ねじ式』を自己模倣したようなマンガを描かなかった。それがすごい。例え不条理マンガを描き続けても『ねじ式』を超えることはできないことを知っていたのだろう。
 つげに関する論考は置いて、本書に内容を移そう。
 「キッチュ」。晩年の石子の興味はそこに行き着いた。キッチュとは「まがいもの」という意味だ。本書で紹介されているキッチュの一例を挙げよう。大漁旗、銭湯のペンキ絵、ペナント、観光絵ハガキ、果ては賞状、トロフィー、食品サンプル。うわうわうわと思うほど、美と対極にあるモノたち。だが、ずっと眺めていると何とも見逃せない強さを感じてくる。戦後の消費社会。そのまがまがしさとウソくさささを丸ごと認める懐の深さ。石子順造という、稀に見る批評家の世界がこの一冊に詰まっている。


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