『やくざ監督と呼ばれて:山陰のピカソ・野々村直通一代記』
著者名:野々村直通 出版社:白夜書房 文責:3年 図書委員 和 椰麻人
この本は、昨年三月まで島根・開星高で野球部の監督を務めていた野々村直通という一人の男が綴った自叙伝である。
この男は、三年前のセンバツにおける「二十一世紀枠に負けたのは末代までの恥」発言で物議を醸したことで有名であるが、この本で発言の真意について触れている。そこでは、自分自身が悔しくて、自らを叱責する意味で発言したということ、開星の方の前評判が高かったうえに、戦力も高く、前年度の中国地区大会覇者として絶対に負けられない中での敗戦だったこと、決して相手校を侮辱するような心根は全くなかったことが説かれている。
また、文中において彼は野球公認規則を用いて次のように生徒達に語っている。
「規則には、『勝つことを目的とする』と書いている。つまり、勝ちにこだわることが、ルールを守っていることになる。徹底してこだわれ!!負けず嫌いになれ!!」と。一生懸命やったから良いというのは間違っている、というのが、彼の言い分である。これは、今の自分達にも当てはまるのではないだろうか。打開不能と思われる状況に直面した際に、打開策ではなく代替策を打って逃げてはいないだろうか。
発言の真意を知るためにこの本を読み始めたのだが、結果として監督ならではの考え方や、人間としての精神を学べた気がする。
私は野球を愛するすべての人に、またそうでない人にもこの本を読んで欲しいと思う。
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