ToO Gijuku Topics(東奥義塾)
東奥義塾高等学校 公式ブログ

〇1167『中途半端もありがたい 玄侑宗久対談集』〇

『中途半端もありがたい 玄侑宗久対談集』
著者名:玄侑宗久ほか 出版社:東京書籍 文責 美術 木村顕彦

 本書は、僧侶で芥川賞作家の玄侑宗久の対談集である。
 対談の相手は木田元(哲学者)、五木寛之(作家)、養老孟司(解剖学者)、山田太一(脚本家)、中沢新一(人類学者)、佐藤優(作家)、日野原重明(医師)、山折哲雄(宗教学者)という、いかにもなラインナップ。その他、辰巳芳子(料理家)、片田珠美(精神科医)という、私が初めて知る名前も見える。
 ともあれ、震災後の福島県で僧侶をしている玄侑が、いま何を思うかが気になり、本書を手に取った。
 やはり私の興味を引いたのは、放射能に関する記述だ。中沢新一との対談で語られている「同じ濃さの放射能がきた場合、いい土をつくっていたところの勝ちなんですよ」という玄侑の言葉がある。それは決してなぐさめの言葉ではないようだ。玄侑の言葉は続く。「セシウムの半減期は30年とか、何千万年もかかる放射性物質もあると聞いて、みんながっかりしていたんですね。ところが、現実はかなり違っていた。化学的な反応を無視していた。しかもセシウムと合体した粘土質の粒子が雨で一番先に流れるわけです。あれよあれよという間に土壌の表面の放射線量が減ってきている。」そういう現象が実際に起こっているらしいのだ。
 反面、少し疑問が残った言葉もある。それは「3・11以前からインフォームド・コンセントという考え方の流れがありました。最悪のことを話しておけば、訴えられても負けない。その発想で最悪のことを言う人がメディアで取り上げられます。でも、その人々の中に放射能についての専門家はいないんです。」「『放射能はどんなに微量でも体に悪い』という考え方は本来予防的な観点から見方ですから、事があった福島県で、そういう言い方をされたら困ります。」というものだ。確かに、最悪のことを話すことで予防線を張っているコメンテーターもいるかもしれないが、かといってウソや隠蔽も良くないはずだ。ここで玄侑が語る「メディア」は、主にマスコミのことを指し、出版は含まれていないかもしれないが、あまたある出版物には「放射能についての専門家」が「最悪のこと」を語っているものもある。例えば『福島第一原発-真相と展望』(アーニー・ガンダーセン著・岡崎玲子訳・集英社新書)を私は挙げたい。その著者の主張を私は否定できないものとして捉えているからだ。玄侑は「そういう言い方をされたら困ります」と言っているが、困って困ってどうしようもない状況が、今の日本を覆っているのだ。加えて、本書タイトルの「中途半端もありがたい」と通じる玄侑の考えからなのか、次のような言葉も気になった。それは山田太一との対談で語られた「TPPなんかもずっと曖昧にしておけばいいですね。」というものだ。僧侶の考えとしてはそれでいいと思うし、それが可能ならばそうして欲しい。だが実際に政策をする側はそうはいかない。いつかは決断をしなければならないものがあるのだ。精神や自己啓発を取り扱った書籍にありがちな「そののまんまでいいんだよ」的な発想ではいけないことが、あるということを私はここで言いたい。ただ無責任に「TPPなんかもずっと曖昧にしておけばいい」と語ったその箇所でいえば、最悪なことをいうメディアと同じレベルではないか、と感じてしまった。


最新記事
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

東奥義塾

Author:東奥義塾

AKB48の渡辺麻友の3rdシングル特典DVDに本校制服が!!

この公式ブログが「あおもりICTコンテスト2010(学校Webサイト部門)」で「最優秀賞」!!

東奥義塾個人情報保護方針→こちら

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

07月 | 2017年08月 | 09月
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -