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〇1213『山靴の画文ヤ 辻まことのこと』〇

『山靴の画文ヤ 辻まことのこと』
著者名:駒村吉重 出版社:山川出版社 文責 美術 木村顕彦

 本書は、『山からの絵本』や『山の声』といった画文集の作者として知られる辻まことの評伝である。
 辻まこと。私がその名前を知ったのは、季刊雑誌『銀花』での辻まこと特集と、みすず書房刊の『辻まこと全集』だった。だが、両者とも、ただ書店で背表紙を見かけただけにとどまった。つまり、名前を知っているだけの人物だった。
 そんな状況で出会ったのが本書だ。著者は駒村吉重。彼は『君は隅田川へ消えたのか-藤牧義夫と版画の虚実』(講談社刊)の著者として、私に強烈な印象を与えたノンフィクション作家だ。その駒村が、藤牧義夫の次にテーマに選んだのが辻まこと、とあれば、読まないわけにはいかない。
 本書をめくっていくと、随所に辻の筆による画が挿入されている。カットのようなペン画もあるし、油彩画(油絵)もある。その中の『支那の街角』という油彩風景画は、辻の娘がたった一枚残した画として紹介されているが、とても良い作品だ。
 本書を読んでいて印象的だったのは、著名人の子息が登場する点だ。例えば島崎藤村の子息・島崎蓊助(画家)や画家である山本鼎の子息・山本太郎(詩人)、作家である有島武郎の子息である森雅之(俳優)。加えて、他ならぬ辻まことも、辻潤(文筆家・ダダイスト)と伊藤野枝(婦人活動家)の子息である。父・辻潤の名前は本書でもたびたび登場し、内容の柱ともいえる。
 著名人の子息、という点でもう少し言うと、画家・竹久夢二の子息・不二彦の人生も本書で初めて知った。本書によると、竹久不二彦は、地元(北海道)の「中学校で美術教師」をしたあとで、東京に移り「業界新聞のデザイナーにおさまり、定年まで日々の業務をたんたんとこなして生きてきた。妻と娘にささげた、いたって地味な半生」だったという。
 あるひとりの人物(ここでは辻まこと)の人生を描き出すうえで、すでにいない数々の人物(しかも初めて知る人物)が登場する。それが評伝の醍醐味だ。辻まこと筆の、茶色の油彩画が特徴的な一冊である。



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