『島へ免許を取りに行く』
著者名:星野博美 出版社:集英社インターナショナル 文責 美術 木村顕彦
著者は、写真家でエッセイストの星野博美だ。近年は、写真集よりもエッセイのほうの仕事が多いように感じる。
本書はタイトルからわかる通り、星野が「島へ免許を取りに」行った時の体験を一冊にまとめたものだ。少し補足すると、40歳をこえ、突如運転免許を取ろうと決意した星野が、長崎県五島列島にある自動車学校で合宿免許取得に挑んだ体験、である。
とても読みやすい一冊だ。免許を取るまで、そして免許を取ってからも、つまずきを繰り返しながら成長してゆく星野の姿についつい共感してしまう。
教習所の体験というのは、なかなかうまくいかない事の連続だ。そして、その苦手意識があまり強すぎて、免許取得後に運転をためらう者もいる。と、こう書きながら、自分自身のことを言っていることに気付く。個人的な話で恐縮だが、私自身、ペーパードライバーで、免許取得後10年以上、まともに車の運転をしていなかった。だが、実は最近車の運転をする機会が出始めたのだ。そのタイミングで本書に出会ったので、まさしく身につまされる思いでページをめくった。
また、本書あとがきでは、免許を取得してから2年が過ぎた星野の近況が綴られている。そこで「右バックではまだ入れられない」という、星野の車庫入れ技術を知る。・・・私も車庫入れが苦手だが、運転をして2年が経つ星野でさえ、右バックの車庫入れが出来ないままなのかと思うと、ちょっと暗い気持ちになる。
ちなみに、本書カバーイラストを担当しているのは、私が最近名前を知ったイラストレーター・木内達朗だ。木内の、明るい色調で楽しげなイラストも本書の魅力のひとつだ。
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