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〇1294『この世で静かに暮らすために』〇

『この世で静かに暮らすために』
著者名:田島征三 出版社:話の特集 文責 美術 木村顕彦

 田島征三(1940-)。絵本作家。
 本書は、田島のエッセイ集だ。だがエッセイとはいっても、のほほんとした日常描写ではない。ここに綴られているのは、田島の怒りの気持ちと、闘いの歴史だ。「この世で静かに暮らすために」というタイトルとはうらはらに、「静かに暮らすために」田島は騒々しく闘い続けてきたことがよくわかる。
 闘い、とここまで書いてきたが、では田島にとっての闘いと具体的には何を指すか。それは東京奥多摩・日の出町のゴミ捨て場第二最終処分場の反対運動を指す。第一処分場から汚染水が漏れているという問題も起きながら、さらに第二処分場までつくられるという理不尽な計画に対して田島は、憤然と挑む。汚染水漏れ、というと、さも2013年現在の問題にも感じられるが、本書の刊行は1993年だ。「最終処分場」、「汚染水」とくると、この国が何もかわっていないことに気付く。
 また、本書で日の出町、ゴミ処分場という文字を読んでいるうちに、私の頭の中にある人物の名前が浮かんできた。彫刻家・若林奮(1936-2003)である。そう感じ、書棚にある『若林奮 犬になった彫刻家』(酒井忠康・著)をめくる。
 実は、若林も田島同様、日の出町のゴミ処分場の反対運動に参加していたのだ。若林は「緑の森の一角獣座」をいう庭(若林にとっては庭も彫刻作品)を日の出町につくるが、それは「行政手法によって無残にも」「破壊されてしまった」(酒井著・前掲書より)という。ここで、自分の中で田島征三と若林奮という、ふたりの芸術家が奇妙なかたちでつながった。
 反対運動、という話をすると、必ずと言ってもいいほど「いや、でもどこかにつくらなきゃいけないでしょ。理想ばっかり言っててもさ。」という声が出てくる。当然そういった視点はあるにしても、その経緯や、行政のやり方を見ているとやはり納得できない。
 個人的な話だが、ここ10年ほど、私の頭の中には常に若林奮の名前がちらついていた。版画作品も購入した。何を描いたかがわからない作品だったり、何をあらわしているかがわからない抽象彫刻を残した若林奮。なぜその人のことが頭から離れないのか、若林の何に自分は惹かれているのかをずっと考えていた。だが本書を読んで、その理由がわかった。・・・当然、本書には若林の名前は登場しない。だが、自分の中ではつながった。読書体験には、稀にこういうことが起こる。



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