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〇1310『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』〇

『旅する巨人 宮本常一と渋沢敬三』
著者名:佐野眞一 出版社:文藝春秋 文責 美術 木村顕彦

 民俗学者・宮本常一(1907-1981)と、彼を支えた渋沢敬三(1896-1963)。
 その2人の交流を、ノンフィクション作家・佐野眞一が検証したのが本書だ。
 タイトルにある「旅する巨人」は、宮本を形容するのによく用いられる言葉だ(もしかしたら、本書刊行をきっかけに多用されたのかもしれない)。そう考えると、本書はあくまで宮本の評伝であり、そこに渋沢が関わっていく構造で成立しているといえるだろう。
 本書では、若き日の宮本の恋、そして妻子を置いて旅を続ける中での女性関係、さらには彼の代表作「土佐源氏」で聴き取りをした人物と書かれた内容とは若干の食い違いがあることなど、なかなか衝撃的な内容が含まれている。
 今に伝わる宮本の肖像写真は、どれもが笑顔だ。その彼に、どんな隠された顔があるのか。本書を読むとよくわかるはずだ。本書に関して言えば、やはり事前に宮本の著作を読むことをおすすめする。『忘れられた日本人』(岩波文庫)が特に有名なのでまずはそれからでも。
 本書を通読して特に印象的だったのは、元首相・田中角栄(故人)についての記述だ。長くなるが、大変示唆に富んだものなので引用する。
 「山古志村の村長は宮本に対し、先生には思う存分やっていただきたいが、ただひとつ角サンの悪口だけはいわんといて下さい、と釘をさした。(改行)『そのときのセンセイの憤りは、そりゃあ大変なものでした。あの男がやればやるほど村は過疎になり、人々の活力が奪われるのがまだわからんのかの、ものすごい剣幕なんです。(改行)たまたまその村で集中豪雨による崖崩れがあり、家がこわれたのを先生と一緒に見に行ったときのことも忘れられません。その家の住人も近所の人も家財道具を運ぼうとしていない。聞くと、家財道具を持ちだせば、補助金がでなくなるというんです。先生がおっしゃるように田中角栄の補助金行政は、村の活力を根こそぎ奪いとってしまうものだと、つくづく思い知らされました』」
 宮本も渋沢も、そして田中角栄も今は亡い。その現代日本を、我々はいかに生きていくべきか。試されている(と、余談だがこの原稿を書いている当日、2020年のオリンピック開催が東京都に決定した)。


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