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〇1343『祭りの声 あるアメリカ移民の足跡』〇

『祭りの声 あるアメリカ移民の足跡』
著者名:新藤兼人 出版社:岩波書店 文責 美術 木村顕彦

本書は岩波新書の一冊である。岩波新書は、歴史がある分だけ内容がかたい。だから、私のようなふざけた人間はほとんどそれを読むことはない。しかしながら、古本屋によく行く私のことだ。当然ながら店の棚にある岩波新書の背表紙だけは無意識に眺める機会が多い。そうすると自然に、よく目にするタイトルや作者があったり、そうでないものがあることに気付いてくる。
 さて、そこで本書だ。
 本書は、これまであまり目にしたことのない類のものだった。尊敬する映画監督・新藤兼人による岩波新書。多くの著作を残した新藤はこんな本も書いていたのかと思う。背表紙には『祭りの声』とだけ書いてある。だがそれだけでは内容の想像ができないと思い、手にとってみる。表紙には「祭りの声」というタイトルの下に「あるアメリカ移民の足跡」とサブタイトルが添えられていた。読み進めていくと、本書で語られている「あるアメリカ移民」とは新藤の姉のことを指していることがわかる。
 なんと新藤の姉は、1923年に日系アメリカ人と結婚するために渡米していたのである。本書は、その姉がアメリカ移民としてどのような人生を歩んだかが綴られている。記述の中には、日系アメリカ人に対する強制収容所での生活の頃の記憶についても触れられていた。
 普段の私であれば、アメリカ移民、日系人への強制収容所と言われてもピンを来ず、本書を読むことはなかっただろう。だが、その時の私は本書を手に取って読んだ。理由は、それ以前に鑑賞していた『尊厳の芸術』という2012-13年の展覧会と、その展覧会を記録した同名の図録を読んでいたからだ(書籍『尊厳の芸術』については以前この書評でも取り上げた)。『尊厳の芸術』展は、アメリカの強制収容所に入れられた日系人たちが、過酷な状況の中でつくった美術品や日用品を展示した展覧会である。その展示の解説によると、日系人に対する戦時中の強制収容所の存在はこれまでほとんど語られることがなかった、とあった。そして私はその解説を読み、なるほどと納得した。が、本書ですでに語られているではないか。日系人への強制収容所のことが。ちなみに本書は1977年刊である。強制収容所に関する記述では、興味深い箇所がある。それは収容所での日系人たちが池をつくり、滝をつくったというエピソードだ。まさしく『尊厳の芸術』展と共通するエピソードだ。滝さえも、つくる。過酷な状況の中で。日系人への強制収容所に対する認識が広まりつつある2013年現在。まさしくいま再び読み返されるべき岩波新書の一冊は本書であろう。

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