『SF挿絵画家の時代』
著者名:大橋博之 出版社:本の雑誌社 文責 美術 木村顕彦
画家がいる。
漫画家がいる。
イラストレーターがいる。
そして、イラストレーターという職業は、ジャンル別にさらに細分化される。
SF挿絵画家もその一つであろう。SF雑誌にイラストを掲載していたり、SF小説の表紙を手掛けたSF挿絵画家71名に、本書著者・大橋博之が解説したのが本書の内容である。多くは、実際に本人に取材をしている。うらやましい仕事だ。
71名のうち、私が知っていた名前は15名ほどだ。小松崎茂、真鍋博。そして画家としても名高い司修、野田弘志、木村光佑、中村宏。漫画家の松本零士の名前も見える。それにしても、SFというジャンルで活躍する挿絵画家(イラストレーター)で、こうも自分が知らない名前を見てしまうと、世界の広さを実感してしまう。
畑農照雄というイラストレーターの名前も、本書で改めて知った。
本書を読む数日前、古書店で気になるタイトルの小説を見つけ、表紙に目をやる。そこには見慣れない画家によるサーカスの画があった。技法は木版であろうか。いい画だ。中をめくると「カバー 畑農照雄」とある。知らない名前だった。
その後、本書を読み、その画家が有名な(本書で紹介されるくらいの)SF挿絵画家であることを知る。
SFファンでない方もあまりこだわらず、こういうイラストレーターもいるのかというような捉え方で読んでいただきたい一冊だ。
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