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東奥義塾高等学校 公式ブログ

○1570『放課後の音符(キーノート)』「Brush Up」○

 『放課後の音符(キーノート)』「Brush Up」
著者名:山田詠美 出版社:新潮社 文責:加藤真之

 主人公の「私」と、その友人である雅美の物語です。二人は同じ中学校で仲が良かったものの、普通高校に進学することになった「私」に対し、帰国子女でバイリンガルの雅美はアメリカンスクールに進学することを決め、別々の進路を取ります。しかし二人の友情に陰りが差すことはなく、折に触れて連絡を取り合い、雅美が「私」の家に泊まりに来ることもあります。価値観の違いがかえって相手への尊敬や親しみをいだかせるのか、いわゆる一般的な日本の高校生として歩む「私」に対し、雅美は常に一歩前を歩いているような価値観の中で、自分の人生を考えています。
雅美が「私」の家に泊まった際、煙草を吸おうとする雅美に、「私」は灰皿として子どもの頃から持っている安物の宝石箱を彼女に渡します。その際「私」が抱いた思いに、この物語の柱があるように思います。「大人と少女の微妙な混じり合い。まさに、それは、私や雅美の年代を意味してはいないだろうか。どっちつかずのもどかしい時間。子供の部分の多い私は、大人への憧れに苦しいぐらい胸を熱くし、大人の部分の多い雅美は、完璧な大人でないことの喪失感を胸に抱え、手もちぶさたで煙草をふかす」。私は、どちらかというと「私」の立場、つまり大人になりたくてもがいている姿の方に共感がもてます。なぜなら私にも、大人への憧れに胸を熱くして高校時代を過ごした記憶があるからです。
 「大人になること」の私なりの定義を、この文章ではあえて避けさせていただきます。大人になることのどこに、何に、どんなふうに憧れていたのか、今となってははっきりと思い出すことができません。しかし、日常生活を送る空間の狭さに、息苦しさを感じていたことは覚えています。確かに、学校という集団生活の中に身を置くことで得られるものはたくさんあります。親友と呼べるような存在を手に入れることも、集団の中でうまく立ち回るすべを身につけることもまた、有意義な経験といえるでしょう。尊敬することが出来る先生にも出会いました。その先生に教わったことや話された言葉は、今でも私の心を温めてくれます。教師としては、生徒たちにこのような経験を十分に積み上げてもらいたいと考えています。しかし、学校は限られた空間であることもまた事実です。そこでの生活は自分から動いて人と出会う機会に乏しく、自分とはまったく異なった生き方をしてきた人の経験から、衝撃的な感銘を受けることも難しいものです。
近い将来、国境を越え、民族や人種を超えた人々と出会う機会を自ら作りたい。そこから、見たことも訊いたこともないような世界の広がりを感じ取ることが出来るのではないか。そのための具体的な行動を起こすには、経済的な余裕がなければならない。せっかくなら自分で稼いだお金を使いたい。パスポートだって取らなければならない。ならば親の承諾が必要な未成年としてではなく、何もかも自分で判断できるはずの二十歳になってから、すぐにでも取得しよう。そんな欲望が、高校生の頃の私の中で渦巻いていたように思います。そして二十歳になった私が具体化した行動が、中国の砂漠地帯、敦煌・莫高窟への1か月にわたる旅でした。この旅から受けた感動は多岐にわたり、ここでは到底書くことはできません。しかし今思いあたるのは、遺跡よりも自然よりも、その旅で出会った人々から受けた感銘の方が、私の心を激しく揺さぶったという事実です。「Brush Up」は、私にそんな時代の自分の姿を思い出させてくれました。
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

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