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○1587『芳賀仞画集』○

 『芳賀仞画集』
著者名:芳賀仞 出版社:創風社 文責 美術 木村顕彦
 2014年5月に初めて神奈川県立近代美術館・葉山に行った。
 そこに展示されていた作品群(ちなみにそれは、宮崎進の作品だったのだが)に私は圧倒されたわけだが、それ以外にもう一つ、興味を引くものがあった。
 それは美術館受付に置かれた、わずか32ページばかりの無料配布の小冊子。
 『たいせつな風景』と題された小冊子で、私が手にしたのはその第19号。「特集:保存と修復」の号だった。
 私がその小冊子を手に取り、家に持ち帰ったのは、表紙に描かれた人物画に心惹かれたからだ。
 森芳雄の絵だろうか?どうも違う。
 小磯良平だろうか?・・・デッサン力はあるが、小磯にしては泥臭い。
 冊子の中をめくると、その画の作者は「芳賀仞」とある。
 恥ずかしながら、初めてきく画家の名前だった。・・・というか、読めない。「はが たかし」と読むらしい。
 小冊子『たいせつな風景』によると、芳賀は1909年に宮城県石巻市に生まれ、1963年に没した画家だという。
 彼の代表作である数々の油彩画は、故郷石巻市の、石巻文化センターに収蔵されていた。
 ・・・が、周知のとおり石巻市は、先の東日本大震災で津波に襲われる。芳賀の油彩画も、多くが被害にあった。
 被災後、芳賀の油彩画は、神奈川県立美術館の手で修復が行われた。そして、その過程が小冊子『たいせつな風景』紙上で報告されていたのだ。
 ずいぶんと前置きが長くなった。
 本書は、その芳賀仞の画集(1993年・刊)である。
 ページをめくると、労働者を描いたデッサンや、石巻の風景画が目に入る。
 確かなデッサン力。作者のヒューマニズムが伝わってくる。
 と同時に、その画を見ているうちに、私は、ある画家の名前を思い浮かべた。
 金野新一(1916-1992)。プロレタリア美術において、確かな足跡を残した、実力のある画家だ。
 芳賀の画は、金野に通じている。その直感通り、本書巻末の略歴では、芳賀と金野の交流を示す史料が提示されていた。
 中でも、「金野新一出征の時」の写真が興味深い。芳賀と金野がはじめ12人ほどの人物が並ぶ。1937年のその写真。「山川惣治撮影」とある。
 ・・・山川惣治といえば、絵物語『少年ケニア』が有名な漫画家ではないかと驚く。
 そして、漫画という点でいえば、芳賀仞自身も、漫画家の顔があったようだ。彼は「芳賀たかし」の名前で数冊の漫画を残している。
 「芳賀たかし」といえば、戦前の中村書店の漫画において欠かせない人物であることを、私は遅ればせながら知るのだった。
 さて、現在、石巻市には石ノ森萬画館というマンガミュージアムがある。それは、萬画家・石ノ森章太郎の業績を称える記念館だ。では、その石巻が、芳賀たかしというもう一人の偉大な漫画家を生んだ地であることを、果たして何人の人が知っているだろうかと感じてしまった(自分でも最近知ったのだから、偉そうなことは言えないが)。
 葉山の美術館で、ふと手に取った小冊子から、意外な形で興味が広がった。
 芳賀仞。震災を経て、この画家が再評価されることを切に願う。
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