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○1654『アンパンマンの遺書』○

『アンパンマンの遺書』
著者名:やなせたかし 出版社:岩波書店 文責 美術 木村顕彦

 本書は1995年刊行。名著の誉れ高く、2013年に岩波現代文庫として復刊して版を重ねている。
 著者はアンパンマンの作者で知られる、やなせたかし(1919-2013)。なんだか、この書評の場で、やなせたかしの著作を紹介する機会が多い気がしている。
 本書刊行当時、やなせは奥様を病気で亡くしている。そのことも作用しているのだろう。本書タイトルにある「遺書」という言葉からは、自身の死をも想定いたものとして捉えることができる・・・とはいえ、現実のやなせは、その後18年も、現役で仕事をし続けて94歳の天寿を全うするのだが。
 さて、本書はやなせの自叙伝である。
 少年時代の父の死、母の再婚、戦争、そして弟の死。宮城まり子や永六輔、手塚治虫からの要望に応えながら自身の道を模索し続けた時代。思いがけない大ブレイク。そして、妻との出会いから別れ・・・。わかりやすい言葉で、それらの事柄が丁寧に綴られている。
 「寝ている間に、ポコンと足の裏の皮が二センチほどの厚さではがれた。(略)人間の身体の適応力の凄さにあらためてぼくはびっくりした。」というのは、戦時中に「歩いているうちに丈夫に」なった足の裏に皮についての描写。
 「ぼくはかすかな戦慄が背筋を走るのを感じた。これはえらいことになった。」というのは、絵本『アンパンマン』が、子供たちに支持されていることを実感した時の心情描写。
 その他、通読して感じたのは、若い頃のやなせは、案外野心家だったということだ。
 やなせは戦後、高倍率の試験に「なぜかぼく(木村註・やなせのこと)は合格して」高知新聞の記者になったのに、三越の宣伝部に転職、さらにそれも退社してフリーの漫画家になった。しかも三越に入社する時には試験官の重役(やなせと同じ高知県出身の人物)が「わしが責任をとるから、この男を合格にしてくれ」という陰の助けもあって入社したのにもかかわらず、だ。
 加えて本書では、やなせ自身が決して聖人君主ではない部分も隠さず述べている。
 例えば「妻以外の女性を愛さなかったといえば嘘になる。」だ。・・・これは何を意味しているのか?
 恋愛の話を抜きにしても、尋常ではないくらい、やなせは人に愛されている!それは、才能と人柄が、足し算ではなく掛け算で他の人に伝わったからだろうか?先述の宮城まり子、永六輔、手塚治虫らとのエピソードその他の詳細は、ぜひ本書を実際に読んで確認していただきたい。
 最後に、特にここで紹介したエピソードがある。それは奥様と一緒に飼っていた愛犬のことだ。
 やなせの愛犬は、奥様の死後一ヶ月後に、奥様と同じ「肝臓癌で」死んだ、と本書にはある。
 ペットが、飼い主と同じ病気で死ぬ。これは単なる偶然、だろうか?
 実は私は、この記述を読む前に、知人から同様の話を直接聞いていた(飼い主である夫の死後、飼い主と同じ病気で犬が死んだという話をその奥さん本人から聞いた)。その事を聞いてから本書を読んだので、それを単なる偶然として割り切ることができないでいる。
 本書は、やなせたかしという人物の人生の苦楽、そして清濁すべてが詰まった一冊である。
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

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