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○1795『現代アート入門の入門』○

『現代アート入門の入門』
著者名:山口裕美 出版社:光文社 文責 美術 木村顕彦

 本書は光文社新書の一冊だ。
 世界の現代アート、それに対応して日本のそれについても考察が進められた本書。海外・国内において現代アートを体感できる美術館のリストや、著者オススメの現代アーティスト25名の紹介ページもあり、現代アートに興味はあるがどんな点に注目したらよいかがわからない方には最適の入門書である。。
 さて、通読して私が興味を持った箇所は、第1章。そこには、日本におけるアーティストに対する世間の目、そして美術館の愚かなマネジメントについて、次のような記述がある。
 「社会生活になじめない、ドロップアウトしてしまった人がアーティストになるとでも思っていたのだろう。全くの偏見である。むしろ積極的に人や社会と関係を結ばなければ、現代アートの表現は出来ない。」
 「例えば、美術館が若いアーティストに出品依頼をする場合、予算も充分に用意しているわけでもないのに『新作が見たい』とか言われることがある。(略)(改行)巨大な美術館の空間だから大作をお願いします、なんて依頼されても、その作品を展覧会が終ったらどうするのか。本来はゆゆしき大問題なのだが、棚上げにしたまま展覧会の企画は進行するという変なことが多かった。」
 「現在の美術館の慣例では、アーティストに制作材料費という実費の他にギャランティーとしての制作費を渡すことが出来ない。(略)『えっ、じゃあアーティストはただ働きなの?』という声が聞こえてきそうだが、展覧会に招待され参加するアーティストの多くは、参加したために赤字を抱え込むというケースが多い。」
 いかがだろうか?美術館に展示することにより赤字になってしまうような情況で、誰がアーティストになろうとするだろうか?本書においては、「貸し画廊」という、日本独特の画廊の形態について解説をしている箇所があるが、アーティストが赤字でも表現活動を続けるという点で言えば、貸し画廊も美術館も変わらないではないか。少なくとも、美術館は物故作家と現存作家の扱いを区別して運営を進める必要があるだろう。
 ・・・と、そういう事をここで書いても、「芸術家は、好きなことをしているのだからそれでいいんじゃない?」「じゃあ、美術館では有名な物故作家の展示ばかりしたらいいよね。その方が入場者も多いだろうし」というような冷たい声が聞こえてきそうなのでこの辺りでやめたおくが。
 現状を知ることから始まることがある。本書をきっかけに現代アートの魅力は何かとともに、アートを取り巻く環境やシステムについても多くの方々に考えていただきたい。そんな一冊だ。
 
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