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○1796『遠い日の歌』○

 『遠い日の歌』
著者名:谷内六郎 出版社:マドラ出版 文責 美術 木村顕彦

 本書は谷内六郎文庫の一冊だ。
 といっても文庫本ではない。A5判(?)のハードカバーだ。
 といっても、少し柔らかい素材の紙のハードカバー。ややこしい。
 さて、そんな本書だ。著者は画家の谷内六郎(1921-1981)。
 本書は、カラー口絵もあるが、あくまで主役は文章。エッセイだ。エッセイに添えられたイラストはモノクロ。
 谷内の絵と同様に、文章にもまた、ある種の寂しさを帯びている。
 例えば「つまらない話です」と題された節。それは、次のように始まる。
 「ボクは病気で部屋に閉じこもっていた生活が長かったせいか、外でトントンとひびく大工さんや、砂利をガラガラやっているたくましい土工さんたちの音に、ひどいコンプレックスをもっています。それは働かねばというあせりの気持が、オシリに火がついたようにボクをせめたてる音でした。(改行)そして今でもその気持がずっと尾をひいてとれません。こんな絵なんてタヨリない仕事をしていていいのかという又コンプレックスです。」
 私は、谷内ほど病弱でもないし、また彼ほどの絵の才能もない。だが、ここで彼が書いている心情は痛いほどよくわかる(私ならば、谷内ほどの絵が描けたならば、コンプレックスは生じないと思うが)。強く、健康な人には、決して理解されないであろう心情だ。そしてまた、谷内のこの弱さこそが魅力だ。ここで吐露されているコンプレックス。それを読んだだけで私は谷内六郎という人間を信頼する。
 本書で綴られる文章には、そんな、弱者(と言い切るのは失礼なハナシだが)ゆえに、社会を厳しい視線で見つめる谷内の姿もある。「釜めし」と題された節から、以下引用。
 「それからまた先日は何かまた学校の先生が『ビンボー人は進学をやめよ』と言う発言をしましたが、これもまったく解らないことで、ロックフェラー級の人だけをお金持と考える水準とすると、日本にはお金持はいないわけですね。そういう水準で考えると日本の子弟は全部進学をしてはいけないことになり、すごいことになったぞと思いました。(改行)全部中学だけであとはやめということになる全体主義的な考えに日本を統一しようとする気持なのでしょう。しかしどの水準で言っているのかわからない問題ばかりが世の中をコンランさせるようです。」
 そんな鋭くまっすぐな文章の横に添えられた挿絵は、汽車の中で釜飯弁当を美味しそうにほおばる母子を描いたもの。当然、谷内による絵だ。こんなにもほのぼのとした絵を描く人の内面に潜む、熱い思い。相反するようでいて、その根底にあるのはヒューマニズム、であろう。
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