ToO Gijuku Topics(東奥義塾)
東奥義塾高等学校 公式ブログ

○1807『写真で見る 水俣を忘れない』○

『写真で見る 水俣を忘れない』
著者名:桑原史成 出版社:草土文化 文責 美術 木村顕彦

 フォトジャーナリスト・桑原史成(1936-)。
 彼は、1960年から水俣病患者とその家族に目を向け続けてきた。
 その仕事は、2014年の土門拳賞受賞に結実した。その受賞に対して、桑原自身は次のように語っている。
 「誉れ高い土門拳賞の受賞はありがたいことと考えます。が、撮影を生業とする者が脚光を浴びることに一抹の負目を感じないではおれません。」(2014年7-9月に土門拳記念館で開催された桑原史成写真展『不知火海』のチラシより転載)
 桑原は卑下しながらそうは言っても、やはり、彼の名前と仕事が周知されていくことは大切である。なぜなら、周知と同時に、世の中の人たちが水俣病について改めて知られるからだ。
 2013年刊行の写真集『水俣事件』により、桑原は先述した土門拳賞を受賞。そして、それに続いて本書『写真で見る 水俣を忘れない』は2014年刊。賞が、仕事に次なる展開を生んだわけだ。
 写真集『水俣事件』に比べて小ぶりな型版の本書。「写真で見る」シリーズの一冊である。
 本書は、桑原が出会った水俣病患者の「6家族の記録」(本書帯による)だ。
 6家族の中には、船大工一家の四女・実子という女の子が登場する。彼女は水俣病患者である。
 桑原は、この船大工一家を1960年から撮り続けている。実子についての、印象深い記述があるので引用する。
 「実子は昨年(2013年)、60歳の還暦を迎えました。『幼児』のような娘に情愛を注いできた老いた父母には命の限りがありました。父親の義光は1987年1月12日に他界。アサヲ(木村註・母の名前)は夫の後を追うようにちょうど半年後の6月12日に、心配でたまらない実子を残して旅立ちました。(略、)残された実子は、長女の綾子とその夫が、アサヲに代わって食事からしもの世話まで介護する歳月が20年余りにわたって続いていましたが、綾子は脳の疾患で床に着き、いまは夫が妻と実子の介護を担っているのです。」
 よくも悪くも、歳月は流れ続ける。この記述は、そんなことを私に想起させる。
 また、上村智子という水俣病患者を子に持つ、父・好男を撮影した写真は静かな感動を呼び起こしてくれる。
 智子の成人式の日(1977年)に撮影された、桑原による有名な写真。その写真に写るのは、娘を抱く笑顔の父親。
 額装したその写真を、父親が同じ笑顔で抱えている、2011年撮影の写真。ちなみに、残念ながら智子は21歳でこの世を去っている。
 父・好男の、30年以上の時を経ても変わらぬ、二つの笑顔を同居させたこの写真。そこから私の頭の中に不意に浮かんできたのは、仏性という言葉だ。
 こんなこと(水俣病)があった。そして、今もその被害に苦しむ人と、その家族がいる。加えてまた、その過酷な情況の中、苦難のなかでもこんな表情(笑顔)を保ち続ける人間がこの世の中に存在している・・・。写真と文章で水俣病を、そして桑原史成の仕事を知ることができる一冊だ。 
 
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

東奥義塾

Author:東奥義塾

AKB48の渡辺麻友の3rdシングル特典DVDに本校制服が!!

この公式ブログが「あおもりICTコンテスト2010(学校Webサイト部門)」で「最優秀賞」!!

東奥義塾個人情報保護方針→こちら

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

03月 | 2017年04月 | 05月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -