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○1839『写真集 雪国春耕 越後松之山 昭和の山村の記録』○

 『写真集 雪国春耕 越後松之山 昭和の山村の記録』
著者名:橋本紘二 出版社:農山漁村文化協会
文責 美術 木村顕彦

 雪が融け、春が始める季節のなかで、本書をめくっている。
 本書は写真集だ。モチーフは、雪深い新潟県松之山の冬。
 雪の多い青森県弘前市に住む私は、雪を見飽きている。にもかかわらず、春になってまでも雪国の写真集をながめているのはどういうわけだろうと思ってしまう。
 濱谷浩。小島一郎。彼らの撮る雪国。
 そして、本書の写真家・橋本紘二(1945-)。
 昭和50年代に新潟県松之山を撮影したモノクロ写真群が、2015年刊行の本書で甦る。
 昔の農村の暮らし。
 「出稼ぎ農民の正月帰省」。
 消雪作業のための灰撒き。
 「雪上運動会」。子どもたちだけでなく、村人たちみんなが参加しているそれを写した写真は圧巻だ。人口減少が強調される現代からみると、まるで異世界を撮影したような写真群である。
 先述のように、本書収録はモノクロ写真ばかりだ。
 だからだろうか、ついつい昔々に撮られた写真だと思い込んでしまう。(例えば、先述の濱谷浩が新潟の雪国を撮影したのは1940年代から50年代だった。また、先述の小島一郎が津軽下北の雪国を撮影したのは1950年代から60年代だ。)
 濱谷、小島が撮った、そのあとの時代。1970年代終わり(先述のように昭和50年代)に本書写真が撮影されたことを再確認したい。
 昭和50年代といえば、すでにカラー写真も一般に普及されている(昭和56年生まれの私は、昭和50年代を昔々とは思っていない)。
 その年代に撮られたものだとすると。思う。高度経済成長を経た昭和50年代でも、農村では本書写真に見られるような生活をしていたのかと。
 昭和50年代撮影だということに注目すると、見えてくることがある。
 例えば、先述のように、賑やかな「雪上運動会」を撮影した項があるかと思いきや、後半部分には「離村」を撮影した項も収録されていることに気付く。
 「離村」を撮影した写真には次のような解説文が掲載されている。
 「減反政策が強行されると、農業に見切りをつけて離村していく家が増えた。(略)」
 ・・・村での暮らしと、村から離れる暮らし(例えば、離村や出稼ぎ労働)が本書の隠れたテーマではないだろうかと私は思った。その点が濱谷や小島の撮った雪国の暮らしとは異なることをここで強調したい。
 本書「あとがき」の言葉に印象深い一文があるので、それを引用紹介して終わりたい。
 「人々は豊かになろうと夫婦出稼ぎまでしてガムシャラに働いてきたが、その苦労をどこかで誰かにすり替えられ、農業に展望を奪われてしまったのではないだろうか。そして、私たちも経済主義にまどわされ、大事なものを捨ててきたのではないどろうか。」
 ・・・出稼ぎ労働を、殊更に悲劇として捉えることに若干の異論を持つ人がいることは承知している。だが、そこを差し引いてみても、「その苦労をどこかで誰かにすり替えられ」という言葉が私には迫ってくる。
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