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○1843『僕の描き文字』○

 『僕の描き文字』
著者名:平野甲賀 出版社:みすず書房 文責 美術 木村顕彦

 平野甲賀(1938-)。グラフィックデザイナ-、装丁家。
 彼の名前を知らなくとも、多くの人は彼の手による文字を見ているはずだ。
 彼は独特の描き文字によって、主に本やポスターの装丁を手掛けてきた。半世紀にわたりグラフィックデザインのトップを走り続けている人物だ。
 本書巻末の略歴によると、彼が手掛けた「独特な描き文字で知られる装丁は6000冊に及ぶ」とある。
 6000冊!・・・自らが手掛けた本だけを1冊ずつ保管したとしても書棚からあふれてしまうほどの量ではないか。
 さて、そこで本書だ。
 本書は、平野が長年にわたって様々な雑誌に文章を寄せたエッセイの類いを一冊にまとめたものである。
 そして、本書装丁は平野自身。表紙、背表紙に平野甲賀文字が踊る。
 本書刊行元である「みすず書房」の本は、明朝体による簡素な装丁本がフォーマットとなっている。その点からいうと、描き文字による、みすず書房刊の著作は珍しいと言えよう。
 先述のように、本書はエッセイが主である。だが、通読して私の印象に残ったのは書家・石川九楊や装丁家・祖父江慎との対談部分であった。
 例えば、書家・石川との対談部分から。日本語は、縦に書くということを強調する石川の考えが冴え渡る。以下引用。
 「今の若い人は、筆記用具を握り込んで持つ。結局手首のスナップで書き滑らないようにした。それが長体ヘタウマ文字になっている。横書きでなめらかに書くと、文字の規範を逸脱してしまうからです。ですから鉛筆の持ち方がなっていないのは親のしつけのせいだけではない必然性があるんです。」
 いかがだろうか?「親のしつけのせいだけではない必然性」。言われてみると確かにそうだ。文字には文字同士のつながりというものがある。例えば(石川は言ってはいないが)、アルファベットの筆記体というものがあるが、あれは当然、次の文字が横に横につながりやすいように形成されている。筆記体アルファベットで縦書きは不可能。それを日本語に置き換えて考えてみるとどうだろう?昔から縦に書かれてきた日本語(漢字とカナ)を、横書きにして書こうとすると「文字の規範を逸脱してしまう」ことになる。ただ単に、最近の若いモンは、というような感情論だけではない考えを知ることができた箇所だ。
 また、装丁家・祖父江との対談部分から。奇妙なデザインによる本を数多く世に送り出している祖父江慎。彼が手掛けた装丁本の中でも、特別に面白いデザインのものを端的に紹介した箇所がある。以下引用。
 「(略)あと、『読み進めると目眩がするようなものを』というリクエストがあったもので、本文組は版面全体を、1度だけ、右に傾けています。ただし『てにをは』だけは傾きを直して、傾いている分、小口に近い部分は一行が42字、のどに近い部分は41字に設定。(略)」
 これまた、いかがだろうか?ちなみに、文中の「小口」とは、ページをめくる側のこと。同じく、「のど」とは本においてページが綴じられている側である。文章だけでは伝わりにくいかもしれないが、なるほど「読み進めると目眩がするような」本である。・・・『ユージニア』(角川書店・刊)という本らしいので、興味のある方はぜひ実物を手に取って見ていただきたい。
 平野甲賀の描き文字のみならず、文字全般や本のデザインに興味がある方にも楽しんでいただける一冊である。 
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

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