『いつもいっしょに』
著者名:こんのひとみ(作)いもとようこ(絵) 出版社:金の星社
文責:川村 建吾
最近、ある生徒に奥さんの好きなところはどこかと質問されました。突然のことに戸惑ったけれど、好きだなと思うところが色々あることに気がつきました。それと同時に気づいたのが、確かに好きなところはあるけれど、それが理由で好きなわけではない、ということ。例えば、私は奥さんの聞き上手なところが好きだけれど、聞き上手だから好きだというわけではないのです。寝顔が可愛くて好きだけれど、それが理由で奥さんが好きなわけではないのです。相手が家族だろうと、友人だろうと、同僚だろうとなんだろうと、好きだから好き。月並みだけれど、好きに理由なんてないんじゃないかなと思います。
この本の主人公である「くま」は、突然現れた「うさぎ」を甲斐甲斐しくお世話します。それはきっとうさぎのことを好きになってしまったからでしょう。好きだから一緒にいると楽しくて、なんでもやってあげたくなるのでしょう。しかし、そのうち自分の期待する反応を返してくれないうさぎにだんだんと不安を感じるようになり、ついには不満を漏らすようになってしまいます。思わず大声で怒鳴ってしまったところ、次の朝、うさぎは忽然と姿を消します。
私たちは親しければ親しいほど、相手にたくさんのものを求めてしまうような気がします。また、相手への思い入れが強ければ強いほど、自分の努力に対する見返りを求めてしまうような気がします。そんな自分の姿をくまに重ねて、キーンと心が痛みました。
本当は、そばにいてくれるだけで充分なんだ。言葉にすると実に陳腐ですが、それを嫌味なく伝えてくれる素敵な絵本です。物語のラストがどうなるかは、読んでからのお楽しみ(^-^)
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