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○1986『戦争画とニッポン』○

 『戦争画とニッポン』
著者名:椹木野衣・会田誠 出版社:講談社
文責 美術 木村顕彦

 戦争画。
 それらは、日本の近代洋画史において、なかなか表に出て来ない。
 話の大前提として、かいつまんで言うと、東京国立近代美術館には「アメリカからの無期限貸与」という扱いでの153点の戦争画が所蔵されている。アメリカから、とは言うもの、その戦争画を描いたのは日本人画家たちである。
 美術批評家の椹木野衣(1962-)と、画家の会田誠(1965-)。彼ら二人が、そんな日本の戦争画と向き合った。それが本書だ。
 テキスト部分の大半は、両者による対談だ。それを補うように、カラー写真図版多数で日本の戦争画が並ぶ。
 息子を戦争で亡くした清水登之(1887-1945)が、その肖像画を何枚も遺していたことなど、本書を通じて初めて知ることが多かった。 特に驚いたのは、「青森にいた奈良岡正夫が救った戦争画が三十数点」という記述だ。
 奈良岡正夫(1903-2004)といえば、青森県弘前市出身で、ヤギを主題として多くの作品を手掛けた洋画家。それ以上でもそれ以下でもないと(極めて失礼ながら)思っていた奈良岡が、戦後になってから戦争画を収集(回収?)していたとは。
 実は私の手元には『戦争美術展画集』なる1943年刊の図録があり、そこには奈良岡による戦争画も掲載されている。奈良岡と戦争画との関わりは、その図録を通じて知っていたのだが、戦後の収集活動については本書で初めて知った。
 またその他、通読して、印象に残ったのは、椹木による次の言葉だ。
 「僕は大学で十数年来、戦争画についての講義をもうけているんですが、始めた当初は学生たちに戦争画のことやそれを取り巻く現状について話すと、秘匿せずすぐに公開すべきだ、という意見が大半でした。ところが、ここ数年で意見が変わってきて、公開しないほうが、という声が結構大きくなってきています。それくらい、戦争というものが再び、切実なものになってきたということなのでしょう。」 
 そう言われてしまうと、「秘匿せずにすぐに公開すべき」との意見が大半、というのは平和な証拠ということなのかと思えてくる。
 会田の言葉を借りると、「丸無視」されてきた「戦争画を含む日本の『近代洋画』」。それについて考えるきっかけにもなる一冊だ。
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