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○1989『突風』○

 『突風』
著者名:林清継 出版社:東邦出版社 文責 美術 木村顕彦

 以前、この書評の場でも取り上げた『色川大吉歴史論集 近代の光と闇』(色川大吉著・日本経済評論社刊)。
 その著作によって、私は本書の存在を知った。
 本書は小説である。
 『突風』というタイトル。
 そのタイトルを一度きいただけでは、本書が、何をモチーフに書かれた小説かは、伝わりづらいだろう。
 この小説のモチーフ。それは、三里塚闘争だ。
 この続編に、『三里塚』『山塞に漂う』という著作があり三つを合わせて「三里塚三部作」と呼ばれているようだが、私が現在のところ読んだのは本書のみだ。
 三里塚闘争。
 それは、現在の成田国際空港建設を巡る、国と、その土地(三里塚)に住む農民との闘いである。
 反対派、賛成派、条件派(ある条件によっては、土地を譲る)。三里塚の農民たちは、それぞれの立場に分かれ、それは新たな闘いを生んだ。本書で描かれるのはその経緯と人間描写だ。群像劇だが、なによりも、登場人物それぞれに、各々の事情がからんでいるのが特徴的だ。
 印象的な一節がある。以下引用紹介。
 「反対派の切り崩しの武器としてもっとも効果的なものは『閣議決定』であった。これは毒ガスのように農民の神経を麻痺させる役目を持っていた。閣議で決定したことは、政府の面目にかけても必ずやるものだという呪文に、農民たちはしばられて行く。その呪文のなかには『強制収用法』というおおだんびらが隠されてあった。『公共』のため、憲法で定められた私有財産が否定され、権力によって奪い取ることができる。そしてそれに抵抗する者のすべてが犯罪者にされる。こういう脅かしにあってたじろがない者は少ない。どうせやられるなら早いとこいい条件で・・・・・・いい条件をのんで国の方針に協力したほうがよい、そういう空気が、潮のように三里塚にひたひたと押し寄せていた。」
 これまで、北井一夫、福島菊次郎、三留理男といった写真家や、ドキュメンタリー映画監督・小川紳介、そして漫画家の尾瀬あきらといった多くの表現者たちが、三里塚闘争をテーマに作品を残してきた。
 そういう意味では、本書もまた、その列に加わる、重要な作品と言える。
 表題作「突風」のほかに、「塵芥焼却炉」「行動者Oの場合」という短編2編も収録。
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