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○2086『ほんまにオレはアホやろか』○

 『ほんまにオレはアホやろか』
著者名:水木しげる 出版社:ポプラ社 文責 美術 木村顕彦

 水木しげる(1922-2015)。彼は2015年11月30日に亡くなった。享年93。
 『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』ほか多数の作品を遺した漫画家である。
 本書は彼の自伝的エッセイ。幼少期の思い出、戦争体験、左腕の喪失、紙芝居作家時代の極貧生活などなど、様々なエピソードが綴られている。
 普通に考えると悲壮感漂うような内容が多いが、水木しげるの手にかかるとどれもがユーモラスに感じられるから不思議だ。
 例えば、戦後、ユマニテ美術研究所において彫刻家の本郷新(1905-1980)からデッサンを習っていた時のエピソードが笑える。場面は、冬の寒い日。
 「マキストーブは、のべつマキをくべなければならないから、本郷先生はひっきりなしにマキをくべる。ぼくは、おっとりとあたっている。(改行)『お前はなにもせんのか』(改行)先生の一喝でハッとしたが、返事ともくしゃみともつかぬ『ふわっ』という声が出ただけで、けげんな顔をしているだけだった。(略)こんなふうだったから、暖かくなるころには研究所をやめてしまった。」
 また、水木の初期貸本作品を多く出版していた兎月書房が倒産した時のエピソードも紹介したい。水木が、兎月書房にかけつけた場面から。
 「あわてて、兎月書房にかけつけると、社長は真赤な目をしてコブだらけの姿。(改行)『ない金はないんだ。気がすまん人には頭をなぐってもらっとるんだが、あんたも、2、3発なぐって行くかい?』」
 真の悲劇とは、どうしてこうも喜劇的なのだろうと思ってしまう。
 しかしながら、水木しげるは、ふざけながらそうした回想エピソードを書いているわけではない。それは、水木作品を少しでも多く読んでいただければわかるはずだ。 
 「時代のの流れの中で、一つの業種が壊滅していく悲惨さはたいへんなものだ。もはや、能力とか努力とかいう問題ではないという感じがする。」
 本書にあるこの記述は、紙芝居業界の没落を指して書かれたもの。しかも、その後に水木が携わった貸本マンガ業界というのも数年のうちに没落する。この経験から彼は「もはや、能力とか努力とかいう問題ではないという感じがする。」と書いたのだろう。
 作者である水木しげる亡き後、戦中、戦後の日本の状況を後世に伝えるためには本書の存在は欠かせない。
 加えて、目に見えないものの存在に対する畏敬の念も、しかり。今こそ読み返すべき一冊だ。
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