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○2094『日本写真史(下)安定成長期から3・11後まで』○

『日本写真史(下)
安定成長期から3・11後まで』
著者名:鳥原学 出版社:中央公論新社 文責 美術 木村顕彦

 本書は中公新書の一冊である(2013年刊行)。上下巻を通じて日本写真史を論じたシリーズの下巻だ。副題は「安定成長期から3・11後まで」。本書帯には「1975-2013」と書かれている。
 本書下巻・本文部分は、上巻の230ページに比べて、150ページと少ない。
 しかし、下巻の特徴は、巻末の70ページほど(!)を占める「主要参考文献」一覧と「日本写真史関連年表」だ。そこには、上下巻を通した日本写真史に関連した様々なデータが収録されている。
 さらには「主要な日本の写真賞」という項目もあり、賞(例えば土門拳賞であるとか木村伊兵衛写真賞)の第…回は誰が受賞しているかという一覧も掲載されている。これは、写真ファンには嬉しい資料だ。
 さて、そんな本書。通読して最も印象に残った箇所がある。
 それは、雑誌『技術と人間』(1998年7月号)において、広河隆一(1943-)が本橋成一(1940-)を「強く批判をした」ことについて触れた部分だ。
 広河と本橋は、両者共に放射能汚染をモチーフにした写真を撮影している。その二人の間に論争が生じていたとは、本書を読むまでは知らなかった。
 広河が本橋に対して言ったのは、「本橋の作品は現地(木村註・本橋が撮影をした放射能汚染地域のこと)を美しく描き過ぎており、放射能汚染の危険性をとても軽視している。もし汚染地域から食物が流通すれば、さらなる悲劇を招く」(本書より)という指摘だった。「これに対して、本橋はこの事態は人類が引き起こした悲劇であり、責任を取り得る個人はいないと反論した」(同じく、本書より)らしい。
 本書では、この論争について、次のようにまとめられている。
 「写真表現に関する他の論争と同じく、二人の主張は平行線で終わり、大きな話題にもならなかった。だがそれから13年後の2011年、福島第一原発の爆発事故が起こったとき、この埋もれた議論の持つ意味は、日本人自身の問題として再び問い直されることになる。」
 まさしくその通りだ。多くの写真家の名前や活動を知ることができるだけでなく、特筆すべき傑作写真が生まれた背景にある、社会の動きも理解できる一冊だ。ぜひ、上下巻併せて読んでいただきたい。
 
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