『KO・KE・SHI人形』
著者名:斎藤亜弓 出版社:ピエ・ブックス 文責 美術 木村顕彦
小ぶりな本。タイトルは「KO・KE・SHI人形」。…こけし人形を収録した作品集である。
…だが一体、こけし人形とは何かという疑問が湧く。
まず、「こけし人形」の定義について、本書には次のようにある。
「伝統こけしと区別して、『おみやげこけし』など一般的に商業こけしといわれているものをこの本では『こけし人形』と呼びます。」
おわかりいただけるだろうか?たとえば、河童をモチーフにしたこけし人形など、昔みた事があると思われる方も多いはずだ。
さて、はっきり言うと、こけし人形は一つや二つだけあっても、あまり魅力を感じない。キッチュなおみやげ品、という感じである。
だが、本書のように、系統だてて並ぶと、圧巻。
愛くるしい!という言葉が自然に飛び出してくる。
本書収録のこけし人形の数々を眺めていて思い浮かんでくるのは、日本が元気だったころの温泉街の情景。
私のお気に入りは、テレビの中に白糸の滝とこけしが入っているもの(「三二四」番)と、こけしのうしろにロープウェイがあるもの(「三三一」番)だ。
テレビ、とかロープウェイ、と文字で書いても、一体それがどうこけしとつながるんだと思われるかもしれない。
興味のおありの方は、本書を実際に手に取ってご確認いただきたい。楽しい気持ちになる一冊だ。