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○0378『中島敦「山月記伝説」の真実』

『中島敦「山月記伝説」の真実』
著者名:島内景二 出版社:文藝春秋 文責 国語 坂本幸博

 現在、高等学校の現代文の教科書で中島敦の『山月記』を採用していない出版社は数えるほどであろう。この作品は中国古典の『人虎伝』を基に作られたものであり、その中に多くの中島敦のエッセンスがちりばめられている、間違いのない秀作である。その中身は、自身を恃むあまり人外の身になってしまった李徴と、そのかつての友、袁慘とのやりとりが中心となっている。
 こうしたことを鑑みると、教科書に採用されて当然のように思える作品ではあるが、実は、『人虎伝』を基にして書かれた小説は『山月記』ばかりではないのである。代表的なところを挙げてみると、佐藤春夫の『親友が虎になっていた話』や今東光の『人虎伝』などが挙げられる。では、なぜ、それらの作品は教科書に採用されず、『山月記』ばかりが採用されるのであろうか。
 当時、敦は無名の作家であった。『山月記』の中には、無名のまま、その一生を終えてしまうという敦の不安と苦しみが、そのままそのまま詩人李徴の言葉として登場する。また、このころ敦の作った短歌の中には、「堕ちる・地獄・暗い・冷たい・呪い」といった言葉が
数多く登場するのである。敦は喘息を抱え、それに伴う多くの症状に苦しめられていた。そうした中で、明日をもしれない命を思うそのすさまじさは、読み手である我々の心に強く印象づけられる。
 また、敦自身、非常に優秀であった一方、誇りや尊大、自尊心という心の病(これは肉体の病よりもよっぽど深刻である)を抱えていたことが、「孔雀の歌」という歌集や、『光と風と夢』の中で述べられていることから容易に推察することができる。
 つまり『山月記』は『人虎伝』を基にしているものの、それとは異なった「中島敦自身を描いた作品」になっているのである。当該図書を読み進めていくと李徴のモデルは敦であることは疑いの余地がなく、袁慘のモデルである親友も実在していることが分かってくる。
芥川龍之介も古典を題材にした作品をいくつも発表し、高い評価を得ている。それは、古典を題材としながらも、それらの作品群がすでに「芥川の作品」になっているために高い評価が与えられるのである。
 当該図書はぜひ国語科の教員に読んでほしい。『山月記』の授業に活かすことができる数々の「宝石」がちりばめられていると考える。

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