『学校がアホらしいキミへ』
著者名:日垣隆 出版社:大和書房 文責 美術 木村顕彦
本書巻末を読んで嬉しく思ったことがある。それは、本書の初出の一部(全体の3分の1ほど)が、雑誌ビッグコミックスピリッツに掲載されたということだ。ビッグコミックスピリッツは若者に人気のマンガ雑誌であり、多くの読者の目に触れる機会が多い雑誌だ。そのマンガ雑誌の中に本書のように「わかっている大人」が切々と書く文章が掲載されていたら、全読者の何パーセントかは無意識にでも内容を読むだろう。その効果はとても大きいと思い、それが私には嬉しいのだ。
藤原和博氏の著作に関する書評でも書いたが、この類いの本(本書の内容については全く触れずにここまで書いたが、本書は著者の日垣氏の学校に対する考えをまとめたもの。藤原氏の著作にも通じる考えがあると私は捉えている。)は、「読んでほしい」人が全く読まずに大人になる。だが本書(初出)のように、マンガ雑誌の中に組み込めば、「読んでほしい」人に押しつけがましくなく本書の内容を読ませることができる。こういった試みは、ぜひ他のマンガ雑誌でも積極的にやっていってほしい。
最後に、内容について一つだけ述べる。著者は、昔の「でもしか教師」の存在を肯定している。詳しくは実際に本書を読んでいただきたい。大らかで、かつピシャリと説く教育についての本と言えよう。
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