『偽善エコロジー』
著者名:武田邦彦 出版社:幻冬舎新書 文責 理科 井上嘉名芽
本書は環境に配慮してと行っていると言われている行動が本当に配慮された行動になっているのかを検証している。
例えば「レジ袋を追放すると石油の消費量が増える矛盾」
実はレジ袋を追放すると新しく3つの事をしなくてはならない。
①レジ袋に使っていた石油成分を違う用途に回さなければならない。
②レジ袋に代わる買い物袋を製造しなければならない。
③ゴミを捨てるときにレジ袋に変わる専用のゴミ袋を作らなければならない。
①については実は元々他に使い道の無い廃油をレジ袋にしていたため、原料をまた、煙突で燃やさなければならなくなる。②や③は新たに石油を使うことになり無駄になる。では、なぜこのような矛盾が生じるのだろうか。これはお役人の縄張り争いの省庁間の縦割り行政に起因する。「環境」を考えた場合、「エネルギーの節約」は経済産業省、「食べ物関係」は農林水産省、「川や道路、町作り」は国土交通省が担当している。そのため、環境省はこれらには手出しができない。肝心の環境問題で環境省が担当しているものがないため、「クールビズ」や「レジ袋追放」のように、「社会の一部だけを見た環境政策」になってしまったのである。
他にも「石油からバイオエタノールにすることはエコなのだろうか?」、「ダイオキシンは本当に有害なのか?」、「リサイクルは本当に機能しているのだろうか?」など、生活に密着した素朴な疑問を追求している。自分が良いと思って行っていることが、果たして本当に環境に配慮していることなのだろうか。それとも人間のエゴなのだろうか。いろいろと考えさせられる本である。
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