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○0526『小銭をかぞえる』

『小銭をかぞえる』
著者名:西村賢太 出版社:文藝春秋 文責 美術 木村顕彦

 本書は、『苦役列車』により芥川賞を受賞する前の西村賢太の小説である。
 収録作品は「焼却炉行き赤ん坊」と「小銭をかぞえる」の二編であり、両者とも私小説だ。一貫して、赤裸々に自らの事を書き綴っていく西村賢太という作家の存在が何故か気になる。文章(文体)はというと、昔風の言葉が多用され、一部意味がわからない熟語もあるが、にもかかわらず自分でも驚くほどすんなりと、しかも面白く読んだ。
 本書収録の二編には、藤澤晴造という昭和初期の小説家の名前が登場する。それは、現在ではほとんど世間から忘れ去られている小説家だ。実は西村は、藤澤晴造の全集刊行を計画している。西村の経歴を見ると、その計画は15年来のもののようだ。『苦役列車』で芥川賞を受賞した時の新聞記事を読んだとき、西村が藤澤全集の編集(ならびに刊行)をしようとしていることを知り、「面白い小説家が登場した」と直感で感じた。小説家である西村が、不遇の小説家に惚れ込み、全集を刊行しようとしている。この全集刊行に関する、今後の展開が楽しみだ。
 本書の二編では、西村と付き合っている女性との距離感、そして自らが生活することと藤澤全集刊行の夢について逡巡する西村自身の姿が克明に描かれている。平成の世に、突如として登場した破滅型作家、西村賢太に共感できる部分は誰にでもきっとあるはずだ。

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