『オリヴァ・ツウィスト』(上・下)
著者名:ディケンズ・本多季子訳 出版社:岩波文庫 文責 国語 坂本幸博
孤児のオリヴァがその不幸な境遇にも負けずに成長していく物語である。何度も映画化されており、その人気と完成度の高さが窺われる。また、貧困層の問題といった当時の社会問題を題材にしているため、内容的にも考えされられるものとなっている。
オリヴァはくじで選ばれ、物乞いの当番となる。そこで「どうか、僕、もう少しほしいんです」という象徴的な台詞が述べられている。この台詞によってオリヴァはさらに大変な境遇になってしまうのである。
ところが、その要所要所において、オリヴァを助ける人物が出現するのである。そのおかげもあって、オリヴァは不幸な境遇にもかかわらず、「ひねくれる」こともなく、純粋に育っていくことができるのである。その一人が、ブラウンローである。この人物は陰に日向にオリヴァを支援し続けていく。
実は、オリヴァには出生に秘密がある。母親はオリヴァを出産した直後、「子どもの顔を見てから死なせてください」という最後の望みを叶え、息を引き取っていく。そして、救貧院に預けられるのであるが、その時に出生の手がかりとなるものを身につけているのである。その手がかりによって、オリヴァは最終的に、自身の「身内」と再会することになるが、それは、まったく意外な人物であった。
作品全体に「勧善懲悪」のイメージが流れ、そういう点においては、日本人に読みやすい内容であるように思う。イギリスの文学作品に触れたことがなく、その点を不安に思っている人たちは、ぜひこの小説から入っていただきたい。また、小説はどうしてもという方は、映画から入るのもよいのではないだろうか。
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