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○0558『アイヌ神謡集』

『アイヌ神謡集』
著者名:知里幸惠(編訳) 出版社:岩波文庫 文責 国語 坂本幸博

 十九歳という若さでこの世を去ったアイヌの少女、知里幸惠がアイヌの「ユーカラ」をローマ字表記し、それに日本語訳を付けたものが当該図書である。
 ユーカラとは、アイヌに伝わる叙事詩であり、それは「口伝え」で伝えられているところに特徴がある。アイヌ語は文字を持たない言語なので、口伝えによる方法しかないのであるが、ユーカラの中には、終えるまでに丸二日を有するものもあり、それを口伝えで伝えていくというのは、文字を持ち、多くの記録媒体に囲まれて生活している我々には考えられないことである。
 当時、アイヌ語研究の第一人者である金田一京助が北海道を歩き回り、アイヌ語の収集、調査に奔走している時、この少女に出会う。非常に利発であり、その詩才も豊か、ユーカラにも通じていることから、京助は幸惠を東京に住ませ、高等教育を受けさせたいと思い、それを実現するのである。
 しかし、その日々は幸惠にとってつらい日々となった。当時、アイヌに対する偏見は想像を絶するほどにひどく、そのこともあって体をこわしてしまうのである。そして、その闘病生活の中で、学問とアイヌ語の記録に励み、このような大著を世に送り出すことになるのである。
 当該図書の「薄さ」から「大著」という言葉に違和感を覚える人も少なくないと思う。しかし、私は、本の価値はその厚さ、長さによるものではないと考える。アイヌの一少女が自らの命を削って、まとめ上げた当該図書は、正に「大著の中の大著」である。
 この後、アイヌ語研究は劇的に進歩し、多くの研究がなされていくことになる。しかし、2011年現在、アイヌ語の研究は盛んではなく、アイヌ語話者も各地で激減している状況である。「言語は一度死滅してしまうと、再びよみがえることはない」のである。今、ここでもう一度アイヌ語の徹底的な記述研究がなされなければならない。言語学に携わる人たちはそのことを十分理解し、研究に取り組まなくてはならない。アイヌの一少女のすばらしい業績を塵としないためにも。


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