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○0564『津軽方言地図』

『津軽方言地図』
著者名:小倉肇 出版社:津軽書房 文責 国語 坂本幸博

 現在、関西学院大学で研究、教育に携わり、日本語の音韻史研究に多大な足跡を残している筆者が、弘前大学在職中にゼミの学生と共に、徹底的な調査を行い、各調査地点の方言語形を示したものである。もちろん、語形を地図上に示すばかりではなく、「言語地理学」として、解釈、考察を加えている。筆者は津軽方言のネイティブスピーカーではないが、ゼミ生と共に詳細に検討した結果、すばらしい研究成果をあげているのは、まさに賞賛に値することであろう。
 言語学的に興味深い部分は多々あるが、わかりやすい例を少し紹介したい。
 言語学では、ある言語の中で語を区別するときに、片方に何か標識になるものを付けて区別することを、marked、unmarked(日本語では有標、無標)という。当該図書でこの例として挙げられているのは、カタツムリ・ナメクジの語形である。共通語ではカタツムリとナメクジは語形が違うのでそのままでよい。しかし、津軽方言においては、カタツムリという生物も、ナメクジという生物も、どちらも「ナメクジ」と呼ぶのである(もちろん、「伝統的」な津軽方言の語形であり、近年の共通語化の影響もあり、2011年現在では、ほとんど使用されなくなっている)。
 そこで、両者を区別しようという意識が働いた時に、全く違う語形を作るのではなく、共通語のカタツムリは、津軽方言の伝統的な語形のまま「ナメクジ」と呼び、共通語のナメクジを「ハダカ(裸)ナメクジ」と呼ぶのである。この場合、殻をもっている「ナメクジ」に対して、殻を持っていない、つまり「裸」の「ハダカナメクジ」なのである。
 津軽のすべての地域でこうした変化が起こったわけではない。事実、私の祖母は共通語のカタツムリを「ナメクジ」、共通語のナメクジを「ナメクジラ」や「ナメクジリ」と呼んでいた。この場合、「ラ」や「リ」が標識になるのである。しかも、その語形の場合、「ナメクジラ」は「クジラ」からの連想なのかといったことまで、考えさせられるのである。他にも、殻を持っている共通語のカタツムリを「イエモチ(家持ち)」としている地域もあるなど、正に「宝の山」なのである。
 以上のように、言語学の知識を持っている方がよりよく理解しやすい箇所もあるが、言語学の知識を持っていなくても、津軽方言のネイティブスピカーであれば、興味を持ってみることができる箇所もとても多く存在する。ぜひ一度手にとってもらい、伝統的な津軽方言と向き合ってほしいと切に願うのである。


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