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○0588『口髭・宝石』(他五編)

『口髭・宝石』(他五編)
著者名:モーパッサン 出版社:岩波文庫 文責 国語 坂本幸博

 何度もこの書評で紹介しているモーパッサンの短編集である。モーパッサンの短編小説を読んだときにいつも感じることはその無駄のなさである。すべての文字が己の働きを自覚し、それに従って動いているような感覚を覚えるのである。
 当該図書には多くの作品が収められているが、今回はその中でも表題にある、「口髭」と「宝石」に注目してみたい。
 「口髭」はある女性の手紙の文章という設定がなされている。最後にモーパッサンが「右ハ原文ト相違アリマセン」と記し、署名までいれた形になっている。ここで読者はさまざまな解釈をすることができる。しかし、本当にある女性の手紙をそのまま掲載したものが小説といえるだろうか。また、本当にそうであれば、モーパッサンはわざわざ最後に、断り書きをいれるであろうか。私は、そうしたことも計算づくだと考えるのであるが、どうであろうか。
 内容は、口髭に異常なまでの執着を示す女性が、口髭のすばらしさを伝える形になっている。うっかり読んでしまうと、終始フェティシズムを感じさせるものになっているように思ってしまうが、後半部分に、髭の形で、フランス人とプロシア人を区別するという話が出てくることに注目したい。『脂肪のかたまり』において、フランスとプロシアの戦争が描かれていたが、そのことを鑑みると、そのくだりはある意味をもってくるのではないだろうか。
 「宝石」はある男が死んだ妻の残した宝石を売りに行く話である。生前の妻はその宝石をレプリカだといっていたので、男は5フラン程度のものと思っているが、宝石商はなんと1万5千フランという金額を提示する。男は驚いてしまい、他の宝石商のところに持って行くが、そこでは2万5千フランという金額が提示される。男は興奮状態になってしまい、妻の宝石をすべて売ってしまう。それらの宝石にも目の飛び出るような金額が付けられるのである。そして、総額はなんと19万6千フランという大金になるのである。
 男は高級料理店で食事をして、一瓶20フランのワインを飲む。その時の気持ちは周囲に「僕は20万フラン持っているんだ」と叫びたいと表現されている。その後、勤め先を辞めるが、その時上司に「実は30万フランの遺産を相続することになった」というのである。さらに、また高級料理店で食事をして、そこで隣に居合わせた老紳士に対し「40万フランの遺産を相続した」と話し出すのである。この金額の変化によって、モーパッサンは何を表現したかったのであろうか。
 男はその後「すこぶるまじめな、しかし、ひどく気むずかしい女性」と再婚する。その後の男の生活は描かれることはないが、この作品は「彼女は彼を大いに悩ませた」と結ばれている。その女性が、なぜ男を悩ませることになったのか。よく考えて読んでみたい作品である。


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