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○0603『山月記・李陵』

『山月記・李陵』
著者名:中島敦 出版社:集英社文庫 文責 国語 坂本幸博

 夭折した大作家、中島敦の短編集である。
 表題にある「山月記」は、多くの高等学校教科書において採用されている、いわゆる「定番教材」として名高い。以前、この書評の中で『中島敦「山月記伝説」の真実』を取り上げたが、「山月記」を読む人は、ぜひそちらにも目を通していただきたい。
 今回は、当該図書に収録されている「名人伝」について述べてみたい。紀昌という弓の得意な男が、その技術を極めようと、当代一の弓の名手である飛衛に弟子入りし修行を重ねていく。そうして弓の技術を極めた紀昌は、自身が当代一の名手になるため、師の飛衛を弓で殺そうとする。お互いの矢を自分の矢で射落とすという激しい戦いの末、お互い矢が尽きてしまう。そこで二人は和解するのである。しかし、飛衛は、紀昌がいつまた自分を殺そうとするか分からないと考え、自身の師匠である甘蠅老師のもとに紀昌を預けることにする。
 紀昌が甘蠅老師の前で、その妙技を披露する。しかし、甘蠅老師は「それは射之射というもので、不射之射ではない」というのである。そして断崖絶壁のぐらぐら揺れ動く石の上に乗って矢を射る、しかも手には弓矢を持たずに矢を射て飛ぶ鳥を落とすという、あの有名な場面が描かれるのである。
 紀昌は目に見えない弓を射ることはもちろん、ぐらぐらする石の上に立つことすらできない。そこで、自身の未熟を自覚し、また修行に明け暮れるのである。しかし、その内容は一つも書かれていない。そうして、修行を終えた紀昌は、かつての精悍な負けず嫌いの男ではなく、木偶のような愚者の容貌をそなえた男になるのである。そしてそれ以降、弓矢を手にすることがなくなってしまう。その時、人々の口からはさまざまな噂が流れるのであるが、紀昌は弓を射ることをしないのである。そして、死の直前、弓矢を見た紀昌は「これは何という道具で、何のために使うのか」ということを人に尋ねるのである。
 中国の古典を題材にした名作であるといえる。芥川龍之介も古典を題材にして、数多くの名作を仕上げている。そこには我々が現代社会を生きるにおいて学ぶべき多くのことが表現されている。芥川も中島とおなじく「定番教材」をもっている。教科書で定番教材に触れた後は、ぜひ他の作品にも触れてほしいと考える。
 ちなみに、中島の最高傑作は、「山月記」でも「名人伝」でもなく、表題にある「李陵」だといわれている。これも、古代中国での実話を基に書かれた作品である。ぜひ一読してほしい。

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