ToO Gijuku Topics(東奥義塾)
東奥義塾高等学校 公式ブログ

○0636『いま、会いにゆきます』

『いま、会いにゆきます』
著者名:市川拓司 出版社:小学館 文責 国語 坂本幸博

 非常に不思議な雰囲気をもった小説であり、読む人の多くはその内容に涙するであろう。
 私が現職に就いて、初めて生徒に勧められた作品である。大学入試の面接練習において、最近読んだ本で印象に残っているものとして生徒が挙げたので、練習後に詳しく聞いてみると、自分が大好きな小説なので、ぜひ私に読んでほしいというのである。そこで、書店に行きすぐに購入して読んだのは、もう六年ほど前のことである。
 内容は、主人公の青年とその息子が、死んだ妻、そして母親である「澪」に再会するというものである。物語の中では、死んだ人間は「アーカイブ星」という星に行くということになっている。そして、地球上の人間が、その死んだ人間のことをいつまでも思い続けていれば、死んだ人間はいつまでもアーカイブ星で暮らし続けるのである。
 このあたりの設定は私自身の考えと重なる部分があって、非常に興味をそそられた。私は、人間が「死ぬ」というのは、完全に人々の記憶から消えるということだと考えている。つまり、物理的な死を迎えても「記憶の中で生き続けている」限り、その人は死んだことにはならない。そういう点で、私は世界の偉人達はまだ「死んだ」とはいえないと考えている。
 再会した「澪」は記憶を失っていた。しかし、主人公と息子はそのことにめげることなく、再会を喜びながら新たな共同生活を始めるのである。その生活の中で述べられることばで印象的なのは、「きっと人間は何度でも同じ相手と恋に落ちるものなのだろう」と「また最初からあなたと恋ができる」である。この二つのことばは、読む人の感動を誘うに十分である。特に「また最初から~」のことばは、かつて週刊少年ジャンプに連載されていた人気漫画である『キャッツアイ』の最終回にも現れる。「こんなにすばらしいことってない。だってそうでしょう。瞳ともう一度、もう一度恋ができる。」アメリカまで追いかけて再会した恋人は記憶を失っていた。しかし、そのことを悲観することなく、新たな関係を築いていくことを喜んでいる非常に印象的なことばである。
 死んだ「澪」は雨の季節になったら戻ってくると言い残して死んでいる。これは夏目漱石の『夢十夜』の「第一夜」の「百年待っていてください。きっと会いに来ますから」といって死んだ女を彷彿とさせるものである。
 名作のエッセンスが随所にちりばめられている良作である。


最新記事
学校所在地
036-8124               青森県弘前市石川長者森61-1  東奥義塾高等学校 TEL:0172-92-4111 FAX:0172-92-4116

東奥義塾

Author:東奥義塾

AKB48の渡辺麻友の3rdシングル特典DVDに本校制服が!!

この公式ブログが「あおもりICTコンテスト2010(学校Webサイト部門)」で「最優秀賞」!!

東奥義塾個人情報保護方針→こちら

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -